ホイットマン 「草の葉」

草の葉 (上) (岩波文庫)

草の葉 (上) (岩波文庫)

「「草の葉」は、いつかはぜんぶ読んでみた方が良い。」

ずいぶん昔、まだ子どもの頃、ある人からそう言われたことがある。

ちらほらと読んだことはあったけれど、すべてを読んだことはなかった。
この前、岩波文庫版で、翻訳ではあるけれど、やっとぜんぶ通読できた。

うーん、「草の葉」は、やっぱりとても魅力的で、不思議な詩集だと思う。
混沌としていて、雑多で、それでいて明確で、何か明澄な響きがある。
それは単なる楽天性というよりも、屈折し傷ついた心の祈りでもあったのかもしれない。

アメリカ」というものが何か、アメリカ文化とは何か、と問う時に、やっぱり「草の葉」ははずことができない古典なのだと思う。
それは同時に、単にアメリカに留まらず、「近代とは何か」ということでもあるのかもしれない。

いろんな意味で、一度は、「草の葉」は読んだことが良い作品だと、私も思う。