映画 「パッチギ」

パッチギ! (特別価格版) [DVD]

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今から見るとちょっと滑稽な六十年代の様子。
米ソの戦争について心配する主人公たちや、毛沢東を熱く語る高校の先生や、北朝鮮がこの世の楽園だという在日の人たち。
後世から見るとナンセンスなそうした登場人物たちの台詞が、かえって今とはぜんぜん違う枠組みの中でも、当時の人々が今と変わらず笑ったり泣いたりしていたこと、人間として熱く面白く生きていたことを、よく浮かびあがらせていたと思う。
変わったものもあれば、変わらないものもあるのだろう。

愛や恋は国や違いを乗り越える、ってことがこの映画のテーマなのだろう。
民族の歴史や怨恨というものは、思っている以上に根深く重いものだし、決して簡単なものではなくて、未だに解決していないいろんな問題や分断というものもあるのだろうけれど、よく考えれば世界に眼に見える国境なんてないわけだし、違う民族であっても愛があっていいわけで、文字にしてしまうと陳腐になってしまうけれど、愛は国を乗り越えられるのかもしれない。
この映画を見ると、沢尻エリカがかわいく好演しているので、なんとなくそんなメッセージに納得させられてしまう。

それにしても、あんまり直接は映画では描かれないけれど、今からでは想像がつかないぐらい、一昔前の在日朝鮮人に対する偏見や差別は強かったのだろう。
昔に比べればましだったのだろうけれど、私が子どもの頃でも、韓流ブームが根付いた今に比べると、だいぶなんというか微妙な空気があったような気がする。

今もって、韓国では昔の親日派の財産没収などが最近行われた状態。
なかなか、人間としての愛や友情が国の違いを乗り越えるというのは、まだまだこれからの課題なのかもしれない。

そういえば、私が中学の時に、韓国人と日本人のハーフの女の子が同級生にいて、本当にかわいい子だった。
私の記憶の中では、沢尻エリカよりもかわいかった。
パッチギを見てて、なんとなくその頃のことを思い出した。