司馬遼太郎 「歴史の中の邂逅」

司馬遼太郎 歴史のなかの邂逅〈1〉空海‐豊臣秀吉

司馬遼太郎 歴史のなかの邂逅〈1〉空海‐豊臣秀吉


この本の中には、所郁太郎について書かれた「無名の人」が収録されています。

「無名の人」は、司馬遼太郎のエッセイの中でも、最も胸を打たれるものだと思います。

歴史に埋もれていた、無名の人だった所郁太郎。

その名前を、いろんな文献から見つけて、その名に「霊気」を感じ、興味を持って徐々にいろんな事蹟をつなぎあわせて、その生涯に思いを至らせていく、
なんとも胸打たれる一文です。

しばしば、英雄中心史観のことを「司馬史観」と呼んだり、揶揄する人々ががおりますが、司馬さんにはそれだけでない、こんなに細やかな「草莽」へのまなざしがあったことを知る、大事なエッセイだと思います。

この本には、長井雅楽など、その他の幕末史ではあんまり語れることない人々も綴られています。

良い一冊です^^