サウンダラナンダ

サウンダラナンダ

サウンダラナンダ

サウンダラナンダは、一世紀か二世紀頃、馬鳴が書いたとされるサンスクリットの一大叙事詩で、ナンダが主人公である。

ナンダ(難陀)は、阿弥陀経にも出てくるけれど、釈尊の弟(異母弟)で、大変美男子だったらしい。
ナンダの妻のスンダリーも絶世の美女だったらしい。

二人とも、愛し合って暮らしていたが…。

なかなか出家しようとせず、出家しても妻に心引かれて還俗しようとするナンダに対し、アナンダ、そして釈尊が説法し、ついにナンダの煩悩を粉砕して、寂静を求める心を起こし、ナンダは信心を得て寂静のために猛然と精進し悟りに達し、仏への報恩の思いに生きるようになる。

その物語が、とても美しい言葉で描かれていて(と言っても私は日本語訳でしか読めないのでその一端しかわからないのだけれど)、面白かった。

うーん、たしかに、愛欲を求めるより、寂静を求めるために精進するのがいいんだろうか。

「この世に幸福は、精進によってのみ達成される」

というメッセージや、

「雑草はほっておいても生えてくるが、米穀は努力によってのみ得られる。
そのように、苦はほっておいてもたくさんやってくるが、楽(スカ)は精進努力によってのみ得られる。」

というメッセージは、なるほどなぁと思った。

私もナンダのように煩悩ばかりの身だが、この本を読んで少し心の向きが変わったような気もする。
ちっとは寂静を求めて生きていこう。

うーん、なかなか愛欲や恋情は経ち難いが、本当は出家した方がいいのかなぁ。。
私にはちょっとまだ心の整理がつかないし、今生では無理かもしれないが。

にしても、このサウンダラナンダ、大乗仏教の作品ということになるのかもしれないが、内容は原始仏典やテーラワーダの修行法を正統に踏んだものが説かれていて、きちんと仏教の嫡子のすばらしい内容と思った。

また、いつか読み返してみよう。