小熊英二 「民主と愛国」

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性

とても面白い本でした。

戦後の日本の歴史や精神史は、案外知っているようで皆知らないことなのではないでしょうか。

この本では、わかりやすく、戦後から高度経済長後までの日本の民主主義や愛国心をめぐるさまざまな思潮が紹介されています。
私にとっては、自分が生まれる前のもろもろの出来事や精神史であり、ぜんぜんよくわかっていなかったこともあったので、とても面白かったです。

60年安保やベ平連なども、私が生まれたあとのおおむね安定して保守志向の強くなった日本からでは想像がつかないほどの、大規模な庶民の運動があったし、熱い季節があったんだなあということで、とても興味深く読みました。

戦後の民主主義を考える上で、また、今現在をどう生きるかについて、とてもアクチュアルな示唆と方向感覚と材料を与えてくれる一冊だと思います。