坂口尚 「石の花」

石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)

石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)


これは、心にのこる良い作品です。

舞台は第二次世界大戦中のユーゴスラヴィア
というだけでも、ものすごく渋い設定。

主人公のクリロとフィーの、けなげさに泣けます。

単純な善悪二元論ではなく、ナチスの将校のマイズナーなども、そうならざるを得なかった事情や複雑な心理が描かれていて、やっぱり日本の漫画はレベルが高いなあと思いました。

フンベルバルディンク先生が、冒頭で、鍾乳洞を児童たちに見せながら、これを石の花と見るかどうかは人の心によるシーンが、何度思い出しても泣けます。

平和も戦争も、そしてその中でどう生きるかも、人の心によるのだと、しみじみ静かにこの作品は訴えているようで、日本漫画史上最高傑作のひとつに入れてもいいように思います。
ぜひ皆さんに読んで欲しいです。