正規・非正規の制度的格差について若干の考察

有期労働者 年収200万以下74%
http://mainichi.jp/life/today/news/20110915ddm002020088000c.html


難しい問題だ。

今の日本のこの現状をどうするかということについて、大きく三つの考え方があると思う。


1、現状で良し。(つまり、正規・非正規の制度的格差の維持)

2、全員正社員になれるように努め、派遣をなくす。

3、制度的格差の是正を目指すが、むしろ正社員の過保護を改めて、企業が正社員を解雇しやすいようにし、労働市場の流動化を進める。


純化して言えば、2が小沢派や社民党が目指していること、3が竹中平蔵さんやネオリベが目指していること、1があまり制度的な思考ができない人、あるいは現状の問題に無関心な人だと思う。

あるいは、1〜3のどれでもなく、心情としては嫌だが、まごまごしているという人が本当は一番多くて、4という分類もできるのかもしれない。

おそらく、菅さんや与謝野さんらは、3を宿命として受け入れながら、それでもちゃんと非正規の人が生きていけるような社会保障制度を構築しようと考えていたのだと思う。

なので、

「3、制度的格差の是正を目指すが、むしろ正社員の過保護を改めて、企業が正社員を解雇しやすいようにし、労働市場の流動化を進める。」

の中に、

A,その上で強固な社会保障を構築して安心して生きていける制度的工夫をする。(職業訓練や失業保険の充実や持続可能な年金・医療保険の構築、ワークシェアリングなど)

B,個々人の自助努力に任せて、国家はなるべく福祉や社会保障から身軽になる。

という3−Aと3−Bがあると言えると思う。

小泉・竹中さんらは3−B、菅さんや与謝野さんらは3−Aだと分類できると思う。

しかし、あんまりはっきり言わないのと、理念的な発信が不足していたために、多くの国民からは3−Aというより4に見られていたことが菅政権の問題であり、長期政権になれなかったことの一つの理由だったのかもしれない。

難しいところは、多くの優しい人や心根のきれいな人が、3−Aと3−Bの区別がわからず、2に固執していることがしばしばあるところだと思う。

鎖国すればともかく、グローバル経済の中では2は難しいという事は、きちんと認識すべきことと思う。

野田政権がどの道を目指すのかはわからないが、いまのところは菅・与謝野路線を引き継ぎ、3−Aを目指しているようである。

しかし、これははっきり理念的な発信や哲学を持たねばならず、八方美人では1や4に結果としてなってしまう。

野田さんには信念を持って、所信表明演説で述べたように、中間層に軸を置いた政策を堂々と行って欲しいものだ。