今日は、ムハマド・ユヌス博士の講演会に行ってきた。
ユヌス博士は、2006年にノーベル平和賞を受賞。
無担保・低額の融資を貧しい人々に行い、自立を促す「マイクロ・クレジット」を創設し、バングラデシュなど多くの地域で画期的な成果をおさめている。
「ソーシャル・ビジネス」を提唱している。
昨年も福岡に来てくださり、その時も講演会に行ったのだけれど、
今日の講演もあらためてとても感銘を受けた。
ユヌス博士が言うには:
ビジネスや経済は、今までお金を稼ぐことにのみ主眼を置いてきた。
しかし、本当はビジネスや経済や人間の活動には、いろんな側面や意義がある。
問題を解決すること。
そのことに主眼を置くのが、ソーシャル・ビジネスである。
お金を稼ぐことではなく、問題を解決することに焦点をあわせた時に、お金を稼ぐのみのビジネスとはまた違った、さまざまな人間の問題や側面に焦点を合わせることができる。
指標がお金を稼ぐことだけに現代はなってしまっている。
しかし、本当の価値の指標は、お金だけではないはずだ。
ソーシャル・ビジネスは、社会的責任と関連している。
この世界には、さまざまな危機がある。
食糧危機、エネルギー危機、災害、精神上の危機など、これらの危機や問題はまだまだなくなっていない。
ソーシャル・ビジネスは、これらのひとつひとつの問題を、解決しようとするところから始まる。
ソーシャル・ビジネスとは、問題解決を目指すもので、出資者に配当はしない。
そのビジネスが持続できるように、採算がとれるように利益は上げるが、株主に配当はしないし、金儲けが目的ではない。
あくまで問題解決を目指す。
しかし、そのことによって、人は大きな幸福を感じることができる。
ソーシャル・ビジネスを通して、人々の人生に触れることができる。
そのことは、幸せの価値観を変えればわかることで、実感できることだし、非常にエキサイティングなことだ。
他の種類のビジネスを、ソーシャル・ビジネスは否定しない。
今までのビジネスと並行して、ひとつの選択として、ソーシャル・ビジネスをこの福岡の地から発信して欲しい。
東日本大震災の復興にも、ソーシャル・ビジネスはきっと大きな役割や希望をもたらすことができると思う。
私たちは、いくつもある選択肢の中から、なんらかの方向性を選んでいく時の、ひとつの方向性として、ソーシャル・ビジネスを選ぶことができる。
ソーシャル・ビジネスにより、人々はクリエイティブな力を発揮できる。
といった内容の御話だった。
パネル・ディスカッションでは、外尾悦郎さんなどが参加されていた。
外尾さんが、ソーシャル・ビジネスは慈悲であり、慈悲は人間のエッセンス、幸せとは自分の心に他の人が住み、他の人の心に自分が住むこと、そのことがどんどん広がっていくことが幸せ、もうそろそろ二十世紀ではなく二十一世紀に生きましょう、ソーシャル・ビジネスこそが二十一世紀です、というお話をされていて、なるほどーっと思った。
とても感銘深い講演会だった。
講演が終わった後、トイレに行ったら、なんとそこでばったりとユヌス博士と鉢合わせ。
咄嗟に、”Thank you very much”と講演への感謝の気持ちを述べると、
ユヌス博士も一瞬驚いた顔をしたあとで、”Thank you”と答えてくださった。
とても良い一日だった。

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