エネルギー基本計画のどこにそんなことが?

原発、安全性高め継続…サミットで菅首相表明へ
(読売新聞 - 05月14日 14:32)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110514-OYT1T00476.htm


この記事にも触れてあるが、民主党が今後約20年間で原子力発電の割合を総電力の50%以上とする目標を掲げていたということが、この記事やいろんなところに書かれている。

しかし、どこにそんなことが書いてあるのだろう?

その根拠として考えられるのは、「経産省エネルギー基本計画」と「民主党政策INDEX2009」の二つの文書だ。

しかし、この二つの文書のそのどこにも、今後約20年間で原子力発電の割合を総電力の50%以上とすることを目標とするなんて、一切書かれていない。

経済産業省 エネルギー基本計画は、9頁と27頁に、原子力発電について以下の目標が記されている。

http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004657/energy.pdf

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2.電源構成に占めるゼロ・エミッション電源(原子力及び再生可能エネルギ
ー由来)の比率を約70%(2020 年には約50%以上)とする5。(現状34%)
<<
(9頁)

<<
まず、2020 年までに、9基の原子力発電所の新増設を行うとともに、設備利
用率約85%を目指す(現状:54 基稼働、設備利用率:(2008 年度)約60%、(1998
年度)約84%)。さらに、2030 年までに、少なくとも14 基以上の原子力発電所
の新増設を行うとともに、設備利用率約90%を目指していく。これらの実現に
より、水力等に加え、原子力を含むゼロ・エミッション電源比率を、2020 年ま
でに50%以上、2030 年までに約70%とすることを目指す。
<<
(27頁)


つまり、「ゼロ・エミッション電源比率」を2020年までに50%、2030年までに約70%という目標が記されているだけだ。

「ゼロ・エミッション電源」とは、原子力および太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギー由来の電源を指す。
http://www.kankyo-business.jp/energy/zero_emission.html


次に、民主党政策INDEX2009は、

<<
現在、日本のエネルギー自給率原子力も含めて16%にすぎず、先進国では最低水準にあることから、自給率の目標を2030年に30%、2100年には50%とします。
<<

と書いてあるのみ。

つまり、エネルギー自給率を2100年に50%にすると言っているのみだ。

この二つのどこにも原子力発電比率を二十年間で50%にするなんて書かれていない。

どこに書いてあるのかも不明なまま、かつて掲げられていたということになっているが、これってデマではないか。

もちろん、菅首相が、従来の原発行政を見直し、新エネルギー政策を推進すること自体は支持したいし、すばらしいと思うのだけれど。