戦後日本の「アメリカ恐怖症」「恐米病」」について


あなたも○○恐怖症?ボタンに異常な反応を示す人
http://news.ameba.jp/20110505-197/


世にいろんな恐怖症があるのだろう。

ただ、本当の恐怖症というのは、自分自身が気づいていないことではないかと思う。

しかも、一個人にとどまらず、社会や一国が発症しているものが、もっとも重い症状かもしれない。

戦後の日本は、はっきり言って、一種の「アメリカ恐怖症」「恐米病」を発症しているのではないかと思う。


先日も、米軍がグアム移転費において日本側に対する要求に「不必要な道路建設費約10億ドルを盛り込んで水増し」していたことをウィキリークスが暴露していた。


沖縄タイムス | 米、在沖海兵隊のグアム移転費を水増し】 
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-05-05_17409/

日本側負担率が少なくなるように見せかけて、交渉をアメリカが有利に行うためのもの。

当然、日本は正確な情報をアメリカに問い合わせ、正確な数字に基づいた移転費用分担を交渉しなおすべきではないかと思うが、今のところそうした声は官民ともに高くはないようだ。


イラク戦争においても、あのような不義の戦に唯々諾々と日本政府は従った。
その不義が明らかになったあとも、さほどきちんとイラク戦争への日本の協力が妥当だったか、その費用が妥当だったかについて、イギリスと比べてまともな検証が行われているとも思えない。

中国や韓国のことになればすぐに激昂し罵倒を尽くす人々が、なぜかアメリカのことになれば非常におとなしくなることもしょっちゅう。


私も、個人的にはアメリカは好きな国だし、個人的に命の恩人と思っている友人もアメリカ人にいる。
アメリカの文化や社会も好きだ。
前任者は大嫌いだったが、今のオバマ大統領は立派な人物だと思うし好感を持っている。
日米同盟は基本的には当面は大事だと思うし、菅首相が「公共財としての日米同盟」を言うことは基本的には正しいと思うし、災害対策などでも今回の経験を活かしてさらに提携を深めればいいと思う。


しかし、敗戦以来、根深い「恐米病」「アメリカ恐怖症」が官民ともに根深く、それがともすれば日本の外交や安全保障を生気のない硬直したものにし、多角的な関係を構築する努力や気概を喪失させ、さらに言えば独立国としての責任感や気概も失わせてきたことは、一応きちんと自覚すべきではないか。

対米協調や日米友好はもとより望ましいが、このことを自覚した上でのその努力と、この症状を無自覚に抱えたままのものでは、だいぶ質も違ってくるのではなかろうか。