ただ速やかに人事を尽して民心を安定するの一途あるのみ

壊滅的 死者・不明1500人超も
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110312k0000e040057000c.html



「おもうに、天災地変は人力を以て予防し難く、ただ速(すみやか)に人事を尽して民心を安定するの一途あるのみ。

およそ非常の秋(とき)に際しては非常の果断なかるべからず。

もしそれ平時の条規に膠柱して活用することを悟らず、緩急その宜(よろしき)を失して前後を誤り、或(あるい)は個人、若(もしく)は一会社の利益保障の為に、多衆災民の安固を脅すが如きあらば、人心動揺して抵止する所を知らず。

朕深くこれを憂綃し、既に在朝有司に命じ臨機救済の道を講ぜしめ、まず焦眉の急を拯(すく)うを以て恵撫慈養の実を挙げんと欲す。」




大正天皇関東大震災直後の詔書の中の一節である。
(原文は、句読点なしのカタカナだが、仮名をひらがなにして、句読点を入れた)


今回の東北沖大地震に関しても、「人事を尽くして民心を安定する」こと、およびそのために「非常の果断」を尽くし、「臨機救済の道」を講じ、「焦眉の急」を救うことに努めるしかあるまい。

なお、この詔書では、安政の大地震が想起されている。
思えば、日本は安政関東大震災阪神大震災など、数多くの大地震にいままで突如としてみまわれ、そのたびに必ず復活し復興してきた。

今回も、個人や一会社などの利益よりも、災害復旧のための相互扶助をこそまず大事にする精神が発揮されれば、必ず速やかな復興ができる。

想像を超える被害に胸が痛むばかりだが、「天災地変は人力を以て予防し難く、ただ速(すみやか)に人事を尽して民心を安定するの一途あるのみ」だ。

菅政権は、幸い、自衛隊の動員についても迅速な決断を矢継ぎ早に下し、首相みずからも被災地域の視察にすぐに飛ぶなど、見事な対応をしていると思う。

官民挙げて、心をひとつにし、災害の復旧復興に力を尽くし、「新しい公共」の精神を発揮できればと思われてならない。