中国とは政冷経熱で

菅首相日中関係改善に意欲
http://mainichi.jp/select/seiji/kannaikaku/news/20110207k0000m010032000c.html


具体的にどのような形での関係改善になるのかはわからないが、なるべくならば日中関係が良好であることは、両国にとっても、地域にとっても望ましいことではあろう。

菅さんは、小沢支持者からは対米従属と批判され、自民党支持者からは対中協力者と罵倒されるのだから、若干気の毒ではある。

現在、中国は輸出入ともに日本にとって最大の貿易国である。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0226&f=column_0226_007.shtml

アメリカもそうだが、中国はもはや日本にとって欠かせない貿易相手国だ。

また、中国が対米輸出を拡大する場合も、必ずしも日本にとってライバルとなるわけではなく、中国は製品をつくる時の中間財を日本に頼っている場合が多いので、中国の対米輸出増大は日本からの中間財の輸入が中国で伸びる結果も生んできた。

ゆえに、日米中は、経済にとっておおむね相互連鎖的に発展してきたと言えるし、お互いの利益になってきたし、なっていると言えるだろう。

また、アメリカにとっては、国債のかなりの割合を日本と中国の二か国が持っているため、本当はアメリカは日本と中国に対しては頭が上がらない構造になっている。

日米中は、経済的にさまざまな意味で、もはや切っても切れない関係と言えると思う。

ただし、問題なのは、中国がいまだに政治システムが民主化せず、市場経済も不透明な部分が多いことだ。
また、国内の人権問題もあるし、軍部が意図不明な軍拡に励み、覇権を志向しているのではないかと危惧される部分がある。

このダイヤモンド・オンラインの記事は、あるマイミクさんの紹介で読んだのだけれど、なかなか面白かった。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0226&f=column_0226_007.shtml

自国を過大評価し、夜郎自大となっている中国を、日米が軍事的に封じ込めつつ気長に成熟するのを待つしかない、という主旨であるが、私も賛成である。

菅政権は、急激な対米対決を避けて、基本的には日米同盟を堅持しつつ、インドやオーストラリアや韓国と軍事的な協力関係を構築し、ゆるやかに対米依存の度合いを減らそうとしているようである。
そうやって、軍事的に中国を封じ込め、尖閣問題などでは毅然とした態度をとりつつ、貿易的には環太平洋の経済的関係を強め、中国との貿易も強めようとしているようである。

今回の中国との関係改善というのも、日米同盟の堅持の上で、中国ともまた適切な友好関係や、経済的協力関係を円滑にさせていくという方向のことだろうと思う。

これらの路線は、おおむね私は妥当な、賢明な政策と思う。
一部の極左が言うような、唐突な日米同盟の破棄や対米対決は、東アジアの秩序に重大な危機や混乱を招きかねないし、中国が第二列島線などの海洋戦略を持ち覇権を志向する以上、きわめて危険な結果を招きかねない。
また、一部の極右が言うような、対中貿易関係を無視した中国敵視政策は、日本経済にとって大打撃を与えかねない。

ゆえに、軍事的には日米同盟を堅持しながらそのウェイトを徐々に下げ、経済的には中国や環太平洋でうまくやっていく、つまり中国とは「政経分離」ないし「政冷経熱」をうまく維持していくことが最も望ましい。

菅政権はそれをやろうとしていると思うのだけれど、どうも説明能力の不足やビジョンが不足しているため、極左からも極右からも叩かれまくる結果になっているように思う。

もっとも、ただなんとなく中途半端な政策になっている結果が、私が見るような中庸の知恵に近似的になって見えるだけで、あんまり方針のない漂流だったとしたら、それはそれで問題なのだけれど。