NNNドキュメント 命に寄り添う〜お坊さんのいる病院〜

二年ほど前、NNNドキュメントで「命に寄り添う〜お坊さんのいる病院〜」という番組があっていた、

http://www.ntv.co.jp/document/back/200812.html

いまは動画も見れるようである。

http://veohdownload.blog37.fc2.com/blog-entry-1452.html


(以下はその番組を見た時の感想)



本願寺派が今年の四月に始めた京都にある「あそかビハーラクリニック」についての特集で、そこでは末期がんの患者などに心身両面での緩和医療を行っている。
ビハーラというのは、仏教版ホスピスのことである。

ビハーラ僧という、緩和医療専門の僧侶も常駐し、ビハーラ僧の方が医療スタッフとともに、患者の方が最期を迎えるまで、心身両面でサポートしケアしているようだ。

若い時に故郷の家族を捨てて蒸発した男性が、末期の癌で入院し、ビハーラ僧の方と話しながら自分の人生を振り返ったり、二十年ぶりに娘が見舞いに来て再会したり、「ありがとう、ありがとう」と言いながら、南無阿弥陀仏と申しながら最後の日々を過ごし、息を引き取ったあとは、医療スタッフが全員で見送り、念仏読経している様子を番組で見ていて、胸を打たれた。

うちの先立った家族も、もちろん普通の病院としては一生懸命医療スタッフの方々にはがんばってもらったことは感謝しているけれど、ビハーラみたいなところに入院できていればよかったなぁと番組を見ていて少し羨ましく思った。
なかなか、あんな医療は今はないだろう。
心のない、そして宗教のない医療が当たり前になっている現代だけれど、本当の医療、特に終末期医療において大事なのは、やっぱりビハーラのようなあり方なのではないかと思う。

私も、将来、もし末期癌になったり、不治の病でもう死を待つのみという状態になって、緩和医療が必要になったら、この京都にある「あそかビハーラクリニック」か、あるいはビハーラを行っている病院に入院したいなぁと思った。

この番組ではとりあげられてなかったけれど、鹿児島にもビハーラ僧のおられる病院があるそうで、その病院でビハーラ僧として活躍されている長倉伯博先生の御法話を以前聴いたことがある。
本当に感動する御法話だった。

江戸時代より日本の仏教が葬式仏教に堕落してすでに久しいし、心ある少数の立派なお坊さんがいる一方で、首をかしげるお寺やお坊さんはどの宗派にも多い気もするけれど、ビハーラのような活動が進んでいけば、社会から本当に必要とされる仏教になるような気もする。


(その後、日本における「無縁社会」の深刻さが指摘され、その深刻さはますます度合いを深めているようである。ビハーラのような試みが、もっと広まって欲しいと思う。)