ETV 「神聖喜劇ふたたび 作家・大西巨人の闘い」

二年半ぐらい前、ETVで「神聖喜劇ふたたび 作家・大西巨人の闘い」という番組があっていた。

http://www.nhk.or.jp/etv21c/update/2008/0810.html

(以下はその番組を見た時の感想)


とても興味深い、良い番組だった。

番組で、一番印象的だったのは、大西巨人さんの戦後の歩みだった。

二人の血友病の息子さんを抱え、
特に長男の入学の問題については断固として学校側の不当な態度に屈せずに抗議の言葉を世に問うて闘ったこと。

決して裕福ではない暮らしの中で大作「神聖喜劇」を執筆したこと。

そして現に今も九十一歳で矍鑠としておられること。

それらの御姿と生き様に、おおーーっととても感銘を受けた。

神聖喜劇」のラストのあとの東堂太郎はどうなったのだろう、とか、続篇はないのだろうか、と時々思っていたけれど、大西さんの生き方そのものが、まさに「神聖喜劇」のその後であり続篇であった。
そう思った。

今まで、「神聖喜劇」の主人公の東堂太郎が、私の目標だったけれど、よく考えてみたら、東堂太郎というより、大西巨人さんが私の手本であり目標なのかもしれない。
そう思った。

神聖喜劇」の中の話も、だいたい大西さんの体験が元になっていたみたいだし、兵隊時代の大西さんは、まさに東堂のような人物だったそうだ。

神聖喜劇」は、恥ずかしながらまだ原作の小説は読めていなくて、私は漫画版を読んですっかり魅了された一人。
原作も、膨大な量に躊躇していたけれど、意外と読みやすいとの話だから、今年中にトライしてみよう。


(その後、大西巨人さんを講演(鼎談)で間近に見る機会があった。本当に高貴な、とても知性を感じさせる方だった。そして、とても笑顔が魅力的な方だった。菩薩のような笑顔だった。人たるもの、あのようにありたいと思う。)