「檻車東下、時に本田某に示す」
侠骨至今猶未摧 侠骨 今に至るも なお未だ摧(くじ)けず
任他刀鋸迫肌来 さもあらばあれ 刀鋸 肌(はだえ)に迫り来る
漢廷従是知高枕 漢廷 是(これ)より知る 枕を高くするを
寂寞世間無郭隗 寂寞たる世間 郭隗なし
(大意)
私の義侠心と気骨は、今に至っても、なお未だ、挫けていない。
過酷な弾圧がこの身に迫ってきても、甘んじて受けよう。
しかし、私が帝都を去れば、薩長藩閥政府の高官たちは枕を高くして、ますます専制はほしいままになってしまうのだろう。
この寂しく、虚しい、なんの抵抗の気力もない世間には、燕の昭王が郭隗を許容したような努力もないし、郭隗のように「隗より始めよ」と、時代の先鞭を付けようとする人もいない。
(しかし、私は確かに「隗より始めよ」の精神で生きた。だから悔いはない。)