雲井龍雄 「席上 綿織(にしきおり)翁に贈る」

「席上 綿織(にしきおり)翁に贈る」

博浪沙中曾撃秦  博浪沙中(ばくろうさちゅう) 曾(かつ)て秦を撃つ
零丁僅脱圮橋身  零丁 僅(わづか)に脱す 圮橋(いきょう)の身
武昌今日相逢処  武昌 今日 相逢ふの処(ところ)
我是子房君老人  我は是(こ)れ 子房(しぼう) 君は老人


(大意)

古代中国の名軍師・張良は、若い頃、自分の国を滅ぼした秦の始皇帝を博浪沙という場所で暗殺しようとした。

失敗し、身を隠して零落していた時に、土の橋で、謎の老人・黄石公に偶然出会った。
(黄石公は、無礼な態度で橋から落ちた自分の靴を拾ってきて履かせるように張良に命じたり、何度も忍耐を試したあと、太公望の兵書を渡して、張良はそれを熟読して天下の大軍師になった。)

今日、いまここで、綿織公、あなたに出会うことができたのは、まさにそのような出会いでした。
私は現代に生きる張良でありたいと思いますし、あなたはまさに黄石公のようです。