雲井龍雄 「偶作十首 其の五」

「偶作十首 其の五」

欲取丹心貫始終   丹心を取って 始終を貫かんと欲す
多言招罪也葵衷   多言 罪を招くも 也(また) 葵衷(きちゅう) 
前途料得夷耶険   前途 料得すれば 夷か険か
月有浮雲花有風   月に 浮雲有り 花に風有り


(大意)

国を思う真心を大事にして、臨終の一念まで初心を貫きたい。

多くの言葉でこの堕落した政治を批判してきた、
そのことによって罪を得たけれども、
これはもっぱら国を思い世の中を思う衷心より出でたことだった。

これから先のことを考えると、はたして平穏なことがありえるだろうか、あるいは険しい道のりだろうか。

月にも雲がかかることがあり、花にも風がつきものだ。
だから、険しい道のりや、いろんな出来事も人生につきものなことだと思い、気にせずに、自分の生き方を貫いていこう。