「偶作十首 其の四」
古人名節貴成仁 古人の名節 仁を成すを貴ぶ
勿問小疵與大醇 問ふ勿(なか)れ 小疵と大醇とを
二十五年何所学 二十五年 何の学ぶ所ぞ
唯憂社稷不憂身 唯(ただ) 社稷を憂へて 身を憂へず
(大意)
古えの人々の名誉と節操は、ただ本当の仁・慈しみを成し遂げることだけを尊んだ。
だから、生き方が純粋でまじりけがなかったのならば、小さな人生での失敗や傷を問うのはもうやめよう。
生まれてから二十五年、何を学んできただろう。
ただ国家社会のことを憂いて、自分の一身のことは憂いないこと。
―この身を犠牲にしても、国家社会に尽くし仁や慈悲を成し遂げることだけだ。
だから、仮に人生での小さな傷が多かったとしても、本望ではないか。