雲井龍雄 「有感」

「有感」


欲求死所向何処  死所を求めて 何処(いずこ)にか向かわんと欲す
深愧志乖身尚全  深く愧ず 志乖(そむ)き 身なお全(まった)きを
熱血嘔来丹若渥  熱血 嘔(は)き来(きた)り 丹若 渥(うるお)ひ
回天事業有空拳  回天の事業 空拳にあり


(意訳)

(戊辰の敗戦以来)
死に場所を求めて、どこに向かおうとしてきたのだろう。

深く恥じる、志に背いて、この身がまだ無事に生きながらえていることを。

結核の喀血が柘榴をうるおした、
― 私の胸の中の熱血も赤々と燃えていることを示すように。

世直しに、本当の維新のために、私は徒手空拳で向かおう。
この空拳の中にこそ、本当の世直しも維新もあるのだ。