キリスト教

八木誠一 「イエスと現代」

古本屋でたまたま見つけたのだけれど、とても良い本だった。イエスのことばの本質を、伝達の言葉ではなく、なんらかの方向性を示すものとして受けとめ、またエゴイズムの否定にその本質を見いだしている。さらに、政治にも個人のみの救済にも偏らず、神との…

内村鑑三 『罪と完全』

内村鑑三『罪と完全』 (昭和四年三月十日 『聖書之研究』三百四十四号) ○ある教会信者に「君には罪の苦悶はないか」と尋ねたらば、彼は左のごとくに答えた。 人間は弱い者である。私は人間である。ゆえに私は弱くある。私が罪を犯すは当然である。 と。こ…

内村鑑三 「人生の目的とこれに達する道」

内村鑑三 「人生の目的とこれに達する道」 (一月十日柏木今井館において ) 明治四十二年二月十日『聖書之研究』百六号「講演」 「ピリポ彼に言いけるは、「主よ我らに父を示し給へ、然らば足れり」。イエス彼に言いけるは、「ピリポよ、我れかく久しく汝らと…

内村鑑三 『人生最大の獲物』

内村鑑三『人生最大の獲物』(昭和三年九月十日『聖書之研究』三百三十八号) ○神の恩寵をこの世の幸福、または成功において見るほど間違うたる見方はない。そう見るがゆえに、我らはたびたび神を疑い、彼を見失わんとするのである。 神が人に賜う最大の賜物…

塚本虎二の本を読んでの雑感

戦前・戦後に活躍したキリスト者で、内村鑑三の弟子だった塚本虎二という人の本を読んでいたら、二二六事件の時にすぐに書いた文章の中で、「公義と真理とに対する私の熱心の不足が、この不祥事を生んだ。」とみずからを責めていて、驚いた。 (塚本虎二『宗…

内村鑑三 「万全の策」

内村鑑三 「万全の策」 「神その羽をもって汝を庇い給わん。汝その翼の下に隠れん、その真実は盾なり干なり」 (詩篇第九十一篇四節) 神の命を待てよ、然らば何事も行われん。 身を神に任かせよ、しからばすべての力は汝に加えられん。 汝は神の属(もの)に…

ミルトン 「失楽園」

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)作者: ミルトン,John Milton,平井正穂出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1981/01/16メディア: 文庫購入: 16人 クリック: 79回この商品を含むブログ (51件) を見る失楽園 下 (岩波文庫 赤 206-3)作者: ミルトン,John Milton,平…

八木重吉 「神を呼ぼう」

神を呼ぼう (新教新書)作者: 八木重吉出版社/メーカー: 新教出版社発売日: 1961/07メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る神を呼ぼう―信仰詩集 (1961年) (新教新書)作者: 八木重吉出版社/メーカー: 新教出版社発売日: 1961メディア: 新書この商品…

内村鑑三 「贖罪の弁証」

内村鑑三 『贖罪の弁証』 「イエス彼等を召(よ)びていいけるは、異邦の領主はその民を主(つかさど)り大なる者は彼等の上に権を操(と)る、然れど汝等の中にては然かすべからず、汝等の中にては大ならんと欲する者は汝等の給仕たるべし、又汝等の中首た…

内村鑑三 「摂理の神」

内村鑑三 「摂理の神」 「汝等公道(おおやけ)を茵蔯(いんちん)に変じ、正義を地に擲(なげす)つる者よ、昴宿及び参宿を造り、死の蔭を変じて朝となし、昼を暗くして夜となし、海の水を呼びて地の面に溢れさする者を求めよ、その名はエホバという。」(ア…

内村鑑三 「夏の午後」

内村鑑三の『夏の午後』という文章に感銘を受けたので、タイピングしてみた。 深く心に響く、純粋な信仰の結晶のような文章と思う。 内村鑑三 『夏の午後』 (『教へられし所の確実』) これは炎熱灼(や)くが如き夏の午後(ひるすぎ)、あるふるき友人の訪…

内村鑑三『世に勝つとは何ぞや』

内村鑑三の『世に勝つとは何ぞや』という文章に感動したので、タイピングしてみた。 現代語訳はWEB上にあったようだけど、原文は今までテキストではWEB上にはなかったようである。 多くの人にお勧めしたい素晴らしい内容の文章と思う。 内村鑑三『世に…

祈寛恵 「老ヨハネの熱き思い 私の読むヨハネによる福音書」

老ヨハネの熱き思い―私の読む「ヨハネによる福音書」作者: 祈寛恵出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2002/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見る感動した。 とても良い本だった。ヨハネ福音書を、十二使徒の一人のヨハネが書いたという観点から読…

ルイス・ベンセン 「クエーカー信仰の本質」

クエーカー信仰の本質―創始者ジョージ・フォックスのメッセージ作者: ルイスベンスン,Lewis Benson,小泉文子出版社/メーカー: 教文館発売日: 1994/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見るクエーカーは、名前はよく聞くけれど、いまいちその中身がわか…

無教会主義キリスト教について

無教会主義キリスト教について語ることができるほどのものは自分には何もないのだけれど、自分自身の思考の整理のために若干いま思っていることを書き綴ってみたい。 無教会主義キリスト教(以下「無教会」と略す)とは、日本独特のキリスト教の形態および活…

矢内原忠雄 「病床十得」

矢内原忠雄 「病床十得」 一、神に帰る。 二、自然に帰る。 三、己に帰る。 四、神の愛を知る。 五、人の愛を知る。 六、己の罪を知り、キリストの赦しの恩恵を知る。 七、人の罪を赦す。 八、人生について神に従順になる。 九、人生の意味と終局の目的につ…

内村鑑三「失望と希望(日本国の先途)」

内村鑑三「失望と希望(日本国の先途)」 私共に取りましては愛すべき名とては天上天下唯(ただ)二つあるのみであります。 その一つはイエスでありまして、その他の者は日本であります。 これを英語でもうしますればその第一はJesusでありまして、その第二はJ…

トマス・ア・ケンピス 「キリストにならいて」

キリストにならいて (岩波文庫)作者: トマス・ア・ケンピス,大沢章,呉茂一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1960/05/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 18回この商品を含むブログ (7件) を見る 良い本だった。 一説によれば、黒田如水の愛読書だったそう…

「滝沢克己講演集」

滝沢克己講演集作者: 滝沢克己出版社/メーカー: 創言社発売日: 1990/01/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 「神様は共にいます」という意味の「インマヌエル」ということについて、とてもわかりやすく説き明かされており、すばらしかった。人間…

映画 「ピオ司祭」

二十世紀イタリアを生きたピオ神父の生涯を描いた映画『ピオ司祭』を見た。youtubeで見ることができる。 https://www.youtube.com/playlist?list=PL1FDCD4ACE3DE78F3印象に残ったのは、二つのこと。ひとつは、神は人の喜びや笑顔を愛します、なので微笑んで…

内村鑑三 「世界伝道の精神」

内村鑑三 「世界伝道の精神」 一九二八年 八月十七日 夜 札幌独立基督教会において 私ども神の恩恵にあずからんと欲して、まず考うべきは神はいかにして私どもを愛し給ふか、その事を知る事であります。 「それ神はその一子を賜うほどに世を愛し給へり」とイ…

パトリシア・St・ジョン 「オネシモ物語」

オネシモ物語―二度目の解放 (1978年)作者: パトリシア・M.セントジョン,山口衣子出版社/メーカー: いのちのことば社発売日: 1978/06メディア: ?この商品を含むブログを見る新約聖書の中にちょっとだけ出てくる実在の人物のオネシモを主人公にした小説。とて…

徳善義和 「マルティン・ルター」

マルティン・ルター――ことばに生きた改革者 (岩波新書)作者: 徳善義和出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/06/21メディア: 新書購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (11件) を見るすばらしい名著だった。ルターは、正直、長い間なんとなく敬遠…

「アビラの聖女テレサの詩」

アビラの聖女テレサの詩 (聖母文庫)作者: 鈴木宣明出版社/メーカー: 聖母の騎士社発売日: 2007/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る神との詩。 神への詩。うまく表現できないが、しいて言うならばそうとしか言えない、詩の数々。

日本の戦国時代に伝わっていたユダヤ教について

長崎などの九州の地域に、「サバト寄り」(あるいは「さばと寄り」)という風習が残っている。 かつてはもっと広範囲に存在していたそうだ。 http://www.seibonokishi-sha.or.jp/catholicgraph/197103.htm https://sites.google.com/site/tomaozaki/Home/tou…

畔上賢造 『無教会主義』 全文

畔上賢造という内村鑑三の弟子にあたる人物が書いた、『無教会主義』という本を、全文タイピングしてみた。 簡潔にして要領を得ていて、無教会主義についての格好の解説書と思う。 仮名おくりや句読点を、若干読みやすく変更した。 多くの人に読んで欲しい名…

ザアカイについて

ルカによる福音書の第十九章にザアカイという人物が出てくる。 印象深い話なので、知っている人も多いと思う。 徴税人で金持ちだったザアカイは、イエスが街にやってきたときに、背が低くてイエスの姿が見えなかったので、いちじくぐわの樹にのぼってイエス…

畔上賢造 『無教会主義』

畔上賢造という内村鑑三の弟子にあたる人物が書いた、『無教会主義』という本が、近代デジタルライブラリーにあったので読んでみた。 簡潔にして要領を得ていて、無教会主義についてのわかりやすい解説と思う。 近代デジタルライブラリーは、けっこう読みづ…

『こんな美しい朝に 瞬きの詩人・水野源三の世界』

こんな美しい朝に―瞬きの詩人・水野源三の世界作者: 『百万人の福音』マナブックス・プロジェクト出版社/メーカー: いのちのことば社発売日: 1990/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見る 水野源三さんの詩を絵や写真…

詩篇145篇14節について

詩篇145篇の14節に、以下のような一節がある。 「主は倒れようとする人をひとりひとり支え うずくまっている人を起こしてくださいます。」 (詩篇 第百四十五篇 十四節) “ La Eternulo subtenas ĉiujn falantojn Kaj restarigas ĉiujn kurbigitojn.” (Psalm…